「音痴」は音のことだけに限らず、今は様々な場面で使われている。

歌が下手な人は音痴と言われるが、

不味いものに味覚が鈍い「味音痴」や

迷子になりやすい「方向音痴」、

頑張っていても動きが異様な「運動音痴」などなど。

しかし、最近の10代20代の子はどうだろうか?

生まれた時から、テレビやスマホなどから止めどなく人の声や歌、音楽が流れている。

カラオケに行くことが特別でもないため、人前で歌うこと、マイクを持つことに、昔ほど抵抗がないように思える。

小学校4年の私の甥っ子なのだが、彼は、1歳の弟のために付けている音楽動画を見て、いつも一緒に歌っている。音程を気にせず、それでも楽しそうに歌うのだ。だから初めての曲でも関係ない。

なんだか、「歌は、音程じゃない!心だ!」とでも言っているようなパワーで歌うから、こちらは引き込まれてしまう。

「音痴なのかな?」

と思ったが、本人が分かる曲が流れると、これがまた上手に歌うのだ。

「まるでウイーン少年合唱団だな!」

と家族が褒めるのがおかしかった。

「味音痴」についてはどうか。

最近は、不味いものなんて無いのではないかというくらい、日本は美味しいもので溢れていると思う。どのお店も家庭料理も、一定のクオリティが保たれている。

私が保育所に入所していた時、脱脂粉乳を飲んだことがある。

それはそれは不味いものだった。

脱脂粉乳を飲み干した後は、急いで肝油を1粒もらって、味をごまかしていた。

味よりも栄養が大事だった時代には、不味いものと美味しいものの差が大きかった。

若い人は、不味いものを知らないだけなのかもしれないが、食が豊かな時代の日本に生まれた子たちなのだから、「味音痴」という概念すら、無いのかもしれない。

それは純粋に羨ましく感じる。

「方向音痴」であっても、その言葉は消滅しようとしている。

GPS機能が付いたスマホや時計を所持している人たちは、迷子になることが少なくなったと思う。

道端で地図を広げたり、人に聞いたりすることもない。

非常にスマートだ。

やはり、今の10代20代の人たちの中から「音痴」という言葉は消えてしまったのだろう。

それは、ITの力によるところが大きいと思うが、どうしても、20~30年昔の若い人と比べると、今の若者の方がスマートで優秀に見える。

もしかすると、「〇〇音痴」とくくりたいのは、自信のない大人たちの仕業なのかもしれない。

*今の若者は、私たち大人が図りしえないほど、大人かもしれない。

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