うちにやってきた7匹のうちで一番ちいさいメダカだった。
名前は「ちびすけ」。
うちにやってきて5日目のメダカたちだったが、みんな昨晩までは元気に泳いでいた。
ちびすけは、一番小さいので餌があまり食べられなそうだった。
だから稚魚用の餌も買って与えていた。
だが、朝様子を見に行くと、やわらかい水流に任せてゆらめいていた。
「あぁ」
わかっていたことだが、悲しい。
初めての観賞魚の飼育だった。
何もかもが初めてで、メダカたちには、ものすごいストレスを与えていたと思う。それに、お祭りの出店でゲットしためだかだから、強くはないだろうとも思っていた。
妹に報告すると、学校から帰ってきた甥っ子に、すぐ伝えたそうだ。
すると、甥っ子は泣き出したそうだ。
「後でお葬式をしよう」
と伝えてもらい、夕方合流した。
夕方は、台風の影響らしく、雨が降ってきていた。
すでに寒くて暗くなっていた。
懐中電灯と傘を持って、二人で庭に来た。
甥っ子の案で、土葬にすることにした。
観賞魚が亡くなった場合、土葬?火葬?放流?生ごみ?(失礼)と、何で葬るのかわからずに家族に相談していたが、甥っ子が庭にお墓を作りたいと言ったので、採用することにした。
スコップが見当たらず、仕方なく割りばしを使って穴を掘った。
私は、「猫に掘り返されそうだな」と思ったが黙っていた。
甥っ子は、ちびすけを埋葬した後、その上に壊れたブロック石を探してきて3段に積み上げた。
ほほう、確かにお墓っぽい。
キッチンの窓から、ごはんのにおいがした。
「よし、これでOk!もう寒いからうちに入って手をよく洗おう」
と言って、二人で家に上がった。
その日の夕飯は、秋鮭の塩焼きだった。まさかの、甥っ子からのリクエストだったらしい。
複雑。でも、ん、、うまい。
甥っ子もしっかり食べていた。