小学4年の甥っ子が、星の観測をしなければならないと言ってきた。
どうやら、宿題をさぼっていたらしく、提出期限が遅れたことで、先生から早めに提出するように言われてきたらしい。
配られたプリントに、星の観測記録を描いて出さなくてはならない。
ネットで調べると、小学校4年生の星の観測記録は、夏休みの課題として出されることが多いようだ。
しかし今は9月中旬。
甥っ子の学年は、昔から学級崩壊を起こしたり、問題のある学年と言われているようで、なるほど、授業が遅れているようだ。
スマホで天気予報を確認すると、台風の接近もあって、向こう一週間は、曇りと雨が続くとのこと。
晴れている今晩、やるしかない。
夕食を家族全員で食べ、食後に甥っ子はお兄ちゃんとゲームを始めた。
私もすっかり、星の観測のことを忘れて、母と妹と談笑していた。
さて、夜も更けて、私は自分のアパートへ帰ろうとした時、甥っ子がやってきた。
「そうだったね、今から行こう。すごい寒いから、上着来ていこう。」
「うん、行こう」
外はすっかり秋の冷たい空気になっていた。
長袖の上にパーカーを羽織った甥っ子でも「さむーい」と言っている。本当に寒くなった。
「よし、5分で星を探して部屋に入ろう」
そう言って、街頭が少なくて暗い駐車場の真ん中で、二人して真っ暗な空を見上げた。
じっとしていると、少しづつ星が増えているように見えてきた。
「W見つけた!あそこ!Wが横になってるよ!」
と私は言ったが、甥っ子はまだ探せない。
スマホでカシオペヤ座の形を再確認し、再び空を見上げた。
一度スマホを見てしまうと、画面の眩しさで、見えていた星の数が少なくなったように感じた。
ようやく甥っ子も見つけたようだ。
「ほんとだ!あった!」
「よし、この形を覚えておいてね!今から宿題のプリントに描かないといけないからね。さぶー!早く部屋に入ろう!」
そう言って、ぼんやり車が見えるようになった駐車場を、二人でダッシュした。
そうそう、この話のオチだが、
宿題プリントをよく読んだら、さらに1時間後の星の動きも観察するように書いてあったのだ。
眠いし寒い中の宿題、風邪でも引いていないといいが。